コレクション

豆腐百珍

収蔵品

1782年(天明2年)制作/サイズ:223×138×9mm(横×縦×厚み)

資料番号:26966

『豆腐百珍』は、江戸時代の豆腐料理のレシピ本です。天明2(1872)年に、醒狂道人何必醇によって著され、大坂の版元の春星堂藤屋善七により発行されました。上方で好評となったことから、その後江戸へと下り、ここでも多くの読者を獲得しました。
その名前が示す通り、百種類の豆腐の調理方法が記載されています。その内容ですが、豆腐を、尋常品(木の芽田楽など二十六品)、通品(焼き豆腐など十品)、佳品(今出川とうふなど二十品)、奇品(味噌漬とうふなど十九品)、妙品(茶豆腐など十八品)、絶品(湯やっこなど七品)の六つに分類し評価するとともに、作り方をわかりやすく解説しています。
本書の人気を受けて、翌年には、本書にもれた料理百種と付録三十八種を追加した『豆腐百珍続編』が、翌々年には『豆腐百珍余録』が相次いで出版されます。さらには、『卵百珍』、『甘藷(いも)百珍』、『大根百珍』、『蒟蒻(こんにゃく)百珍』など、「百珍」と名を付けた別の食材の料理本がシリーズ物として出版され、一つの流行を生み出しました。こうした出版事情から、江戸時代の人々が、今の私たちに負けず劣らず食文化を楽しんでいたことを知ることができます。