コレクション

『風俗画報』

収蔵品

1899年(明治32年)制作/サイズ:188×260mm(横×縦)

資料番号:27358~24495、24496、24497

明治22(1889)年に創刊され、「画報」ということばを誌名に掲げた初めての雑誌といわれています。創刊時は政府の推進した極端な欧化主義への反省期にあり、その編集方針は、江戸時代の風俗の考証や、東京ならびに地方風俗の記録というものでした。それに加え「画ヲ以テ一ノ私史ヲ編纂スルノ料ヲ作ル」と創刊号の「稟告」にあるように、表紙や口絵に色鮮やかな石版多色刷りを多用しました。
月刊誌でありながら、戦争、災害、博覧会などにともない、頻繁に増刊号を出し、その中には、当時の風俗や情景を伝えるものとして、各地の名所図会も多数含まれています。なかでも「新撰東京名所図会」は明治29(1896)年から足かけ14年にわたり発行された全64編に及ぶ大作で、明治の東京の様子を現在に伝える好資料とされています。
『風俗画報』は石版挿絵で一時代を築き、明治30年頃に全盛期を迎えました。しかし、日露戦争後は、写真印刷の実用化が進み、石版印刷は徐々に衰退していきました。こうした流れと軌を一にするように、大正5(1916)年に廃刊しました。