コレクション

『真美大観』第1冊

収蔵品

1899年(明治32年)制作/サイズ:487×337×13mm(横×縦×厚み)

資料番号:75884

日本仏教真美協会が発行した美術全集です。京都建仁寺の塔頭寺院禅居庵で発足した日本仏教真美協会は、世人の美術の嗜好を利用して仏教思想を喚起することを目的に、『真美大観』を刊行しました。B3判近くある大型本で、1899~1908年まで全20冊が発行されました。1冊につき約50枚の図版があり、その内の約5枚は木版印刷、約45枚はコロタイプ印刷で製作されました。第1冊から第6冊までと第12冊のコロタイプ印刷を小川一眞写真製版所が担当しました。『真美大観』は1900年に開催されたパリ万博に出品され、金賞を受賞しています。
写真師小川一眞は、最新の技術を学ぶために渡米し、コロタイプ印刷術を習得し帰国しました。コロタイプ印刷は版にガラス板を使用します。ガラス板の上に感光剤を加えたゼラチンをひき乾燥させ、ネガを密着し焼き付けると、ゼラチン表面に当たった光の量によって、インキの付着量が異なる皺が形成されます。濃淡の表現に網点を使わずゼラチンの皺を利用するため、写真の中間の階調、微妙な調子を再現することができました。小川は最も写真に近い印刷法としてコロタイプ印刷を活用し、さまざまな作品を製版、出版しました。