コレクション

『日本山海名産図会』

収蔵品

1799年(寛政11年)制作/サイズ:179×245mm(横×縦)

資料番号:27770

百貨店などで催される物産展は、どこも多くの人々で賑わっています。実は江戸時代の人々も、今の私たちに負けず劣らず名産品には目がなかったようです。そのことを示す一つの資料が、この『日本山海名物図会』です。
本書は、各地を代表する名産を、図を交えて紹介した、5巻5冊から成る江戸中期の名産図会です。著者は、大坂の知識人で、酒造家の木村兼葭堂といわれ、すでに刊行されていた『日本山海名物図会』の続編として刊行、この両書によって、18世紀の日本の産業の全体像が示されました。
熊野の蜂蜜をはじめ、伊丹の酒造り、土佐の鰹、伊万里(利)の陶器など、地方的な特産物が紹介されていますが、中でも伊丹の酒造りでは、酒の製造方法について詳しく述べられており、江戸期における酒造業の実態が伝わってきます。また、興味深いのは、長崎出島のオランダ屋敷やオランダ船が紹介されている点で、当時の人々にとっては、こうした各地の産物だけでなく、異国の文物をも知る手がかりとなった貴重な書物であったようです。