コレクション

『萬國新話』

収蔵品

1800年(寛政12年)制作/サイズ:159×226×6mm(横×縦×厚み)

資料番号:48136

幕府の医官・桂川家の出身で、蘭学者の森島中良が著しました。世界を、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカの4つの世界として紹介しながらも、実際には、アジアだけが記述されています。アジアの地理概説および、動植物の名称、国別、人種別の内容について触れており、蘭書からの影響が見受けられます。これら記述の多くは、当時禁書とされていた『職方外記』という書物より引用されました。
また図版も伴っていますが、特に目を引くのが、巻末の附録に見られるロードス島の銅製巨人像です。これは、ギリシャの数学者で旅行家であったフィロンが選んだ古代の七不思議のひとつに数えられるものです。当時、この巨人像は、書物の挿絵としてだけでなく、錦絵の画題としても取り上げられ、江戸の人々に知られるところとなりました。
なお、森島は、本書を著す前に、『紅毛雑話』を刊行しています。これは、蘭学知識を一般向けに解説した、蘭学草創期を代表する啓蒙書として人気を博しましたが、『萬国新話』は、その続編として世に出されたものだったのです。