コレクション
『江戸名所図会』
展示中
1834年(天保5年)制作/サイズ:183×265×13mm(横×縦×厚み)
資料番号:28597~28606
江戸時代後期以降、各地において、名所を紹介した「名所図会」が盛んに出版されました。『都名所図会』をはじめ、『大和名所図会』、『東海道名所図会』、『江戸名所図会』など、その種類もさまざまですが、これらの「名所図会」シリーズの中でも、画・文ともに最も質の高いものとされたのが、『江戸名所図会』です。
本書は、斉藤幸雄が江戸府内・近郊を実地調査して作成した草稿に、子の幸孝が校訂を加え、さらに幸孝の子の幸成(月岑(げつしん))が、祖父・父の遺稿に校訂を加え、天保5(1834)年に三巻10冊、同7(1836)年に四巻10冊として刊行したものです。いわば本書は、父子三代による、長い年月をかけた努力の結晶といえるものでしょう。
内容は、江戸ならびにその近郊の名所・旧跡・神社・仏閣を、挿絵を交えて紹介しています。それらの絵は、長谷川雪旦によって描かれましたが、その一つ一つが、実地の写生に基づき精緻に描写されており、文字だけでは表現できない、各所の景観を見事に表しています。