コレクション

麻疹絵「麦殿大明神」

収蔵品

1862年(文久2年)制作/サイズ:246×366mm(横×縦)

資料番号:29432

江戸時代の人々に恐れられた伝染病の一つに麻疹があります。医学が進歩した今日こそ、麻疹による死亡率は減少してきましたが、江戸時代においては、感染力が強く、死亡率が高い恐ろしい病気でした。特に文久2(1862)年の大流行の際には、多くの犠牲者を出しました。この麻疹が大流行した年に大量に印刷され、売られたものが麻疹絵です。
麻疹絵とは、麻疹にかからないように、かかってもすぐに治るようにとの祈りや願いが込められた、護符としての役割を担った多色摺り浮世絵版画です。また、護符としての役割だけでなく、食べて良いもの・悪いもの、してはいけないことなどが書き添えてあり、医療情報を提供する役割も担っていました。
ここに紹介する麻疹絵「麦殿大明神」は、麻疹を退治するのに効験ある神と考えられた麦殿大明神が、麻疹の鬼を両足で踏みつけている姿を、人々が拝んでいる様子を描いたものです。麻疹を象徴する鬼がやっつけられている様子を描くことで、護符としての効力を持たせたと考えられます。