コレクション

「五ヶ国於岩亀楼酒盛の図」

収蔵品

1860年(万延元年)制作/サイズ:746×374mm(横×縦)

資料番号:48140

開国後、アメリカ人やイギリス人をはじめとした欧米人が、日本を訪れますが、その姿は、当時の人々に強い印象を与えました。それは、彼らの姿が、版画や瓦版に数多く描かれ、売れたことからも伺い知ることができます。
版画においては、多色摺りによって、人物図とともに、洋傘や洋犬、ミシン、望遠鏡など西洋の文物も色鮮やかに描かれています。その多くは大判一枚摺りによるものですが、中には、3枚仕立てにしたものも売られ、人気を博しました。ここに紹介する「五ヶ国於岩亀楼酒盛の図」もその一つです。
この作品の特徴は、なんといっても描かれている人物の多さに尽きるでしょう。アメリカ、イギリス、フランス、オランダ、ロシアの五ヵ国人に加え、中国(南京)人、日本人の芸妓が酒宴を開き、遊興する情景が画面いっぱいに描かれています。豪華に見えますが、このように五ヵ国の人物が一堂に会して酒宴を開くことは現実に考えにくく、絵師の想像によって描かれたのでしょう。
なお、酒宴の舞台とされているのは、開港直後の横浜の埋立地に設けられた遊郭の中で最も大きかった岩亀楼です。