コレクション

『大日本国沿海略図』

収蔵品

1867年(慶応3年)制作/サイズ:711×785mm(横×縦)

資料番号:77269

「大日本国沿海略図」は、1867(慶応3)年に勝海舟が木版多色摺で出版した日本地図です。題名方向から見ると南を上にした地図になっています。この地図は、伊能忠敬の日本地図「伊能図」にルーツがあります。
忠敬は日本で初めて実測の日本地図「大日本沿海輿地全図」をつくりましたが、正確な出来栄えだったため、機密情報とされました。
その後、1861(文久元)年にイギリスの海軍が日本の沿岸を測量していました。江戸幕府は攘夷勢力の活動を懸念し、「伊能図」の写しを渡すことで測量を中止させました。この「伊能図」を見たイギリス海軍は、その地図の正確さに驚きます。手に入れた「伊能図」をもとにして、測量していたデータも反映させ、1863年に「日本と朝鮮近傍の沿海図」としてイギリス本国で刊行しました。
海舟は海軍操練所で航海術を教えており、この地図と出会い、必要性を感じとったのでしょう。翻訳を命じて、木版多色摺で出版させました。「伊能図」の写しが海外に渡り刊行され、日本に逆輸入されるという興味深いいきさつをもった地図です。