コレクション

〈聖骨の接吻〉『イタリア・アルティスティカ』より

収蔵品

1860年制作/サイズ:310×380mm(横×縦)

資料番号:33201

『イタリア・アルティスティカ(イタリアの美術)』は、一八六〇年ドメニコ・キヨッソーネによって自費出版されました。イタリア各地にある名画を銅版画にしておさめた大型豪華本で、全四十点のうち、ドメニコが十八点、彼の従弟であるエドアルドが八点担当しました。この「聖骨への接吻」はエドアルドによる作品です。若き版画家によって忠実で正確に原画が再現されています。
エドアルド・キヨッソーネはこののちに銅版彫刻の指導者として来日し、日本の紙幣印刷の基礎を築きます。しかし、学校を出てから従兄の指導を受けつつフィレンツェの工房にいた当時は、祖国を離れ遠い日本にまでやってくることになるとは思ってもみなかったことでしょう。
原画は、フィレンツェのサンティッシマ・アヌンツィアータ教会の回廊に描かれた連作の一つで、アンドレア・デル・サルトによるフレスコ画です。まだまだ写真が普及していなかった当時、銅版画はこういった絵画を知るための貴重な手段でした。図版の普及には銅版画が不可欠で、大きな役割を果たしていた時代だったのです。