コレクション

『種の起源』(第二版)

収蔵品

1860年制作/サイズ:130×200×35mm(横×縦×厚み)

資料番号:41111

ダーウィンの著作の中でも進化論を唱えた初めての書『種の起源(原)』の第二版(1860年)です。ダーウィンの進化論は、少ない種から多様な種が枝分かれし、自らの意思ではなく自然淘汰の後、多様化していくと説明した点が、先駆者との大きな違いでした。本書には理論の模式図が1点だけ挿入されています。
彼は、この模式図を印刷するにあたり、自らのスケッチとともに植字工へ指示を記しています。一行目の大文字を不規則な間隔にする、点とハイフンの連なりを区別する、四つのダイアグラムを一覧できるようにすることなどです。しかし、結果としてウィリアム・ウェストが平版で印刷した図を見ると、文字間は指示に配慮している一方、進化の過程は上下逆に配置され、点とハイフンは点線に統一、四つのダイアグラムも一つのみ掲載と、指示を忠実に再現したとはいえない出来でした。
科学者の中には、ガリレオ・ガリレイやロバート・フック等、著作に入れる図を自ら描く、あるいは彫版する人物もいましたが、ダーウィンは、素描の技術に秀でていなかったため、印刷者に任せる必要がありました。本書が、追随する研究者に先んじて発表する目的もあったため、指示通りの図とならなかったとしても、仕方がないことだったのかもしれません。