コレクション

ベントン彫刻機

展示中

サイズ:780×820×1800mm(横×縦×厚み)

資料番号:33364

1884年に完成し、翌年特許を得た彫刻機。アメリカのATFによって製造・販売され、日本には1912年大蔵省印刷局に最初に導入されました。印刷局導入後、東京築地活版製造所や三省堂の2社にも導入されましたが、広くは普及せず、特許が切れた1948年に津上製作所によって国産機が開発・発売され、印刷会社、母型・活字製作販売会社にも広まりました。
写真の機械は、ATF製で、1922年頃日本に輸入されたもの。
活字を鋳造するための鋳型を母型と言います。母型は、製造方法によって、「電胎母型」「打込母型」「彫刻母型」と分けられ、「彫刻母型」はこのベントン彫刻機によって作られます。
この機械は、アメリカのリン・ボイド・ベントンが1885年に特許を得て、その後1892年に創立されたATF(American Type Founders Inc.)によって販売され、普及していきました。当初この彫刻機は、電胎母型を製作する際の父型を彫刻するために考案されましたが、後に打込母型のための父型を彫刻するように改良され、さらにその後、母型を直接彫刻するようになり、母型製作の移り変わりに沿って改良され続けてきました。
しくみは、パントグラフの原理を利用したもので、パターンと呼ばれる亜鉛製の文字板を手元に置き、文字をなぞると、上部のカッターが高速回転しながら同時に動き、母型の元となる真鍮材に文字を縮小して彫刻するようになっています。