コレクション

『都風俗化粧伝』

展示中

1813年(文化10年)制作/サイズ:157×272×7mm(横×縦×厚み)

資料番号:36371

江戸時代後期に刊行された美容等に関する書で、現在のファッション情報雑誌ともいえるものです。伝統的な化粧等の方法を体系付けたレベルの高い内容となっており、当時としてはこの類のものが見当たらなかったことから、多くの女性の間で評判となり、広く読まれました。その人気は明治時代以降も続き、大正11(1922)年に至るまで、1世紀を超えるロングセラーとなりました。
本書は、上・中・下三巻より構成されています。巻の上では顔面之部、巻の中では手足之部、髪之部、化粧之部、そして巻の下では恰好(かっこう)之部、容儀(かたちつくり)之部、身嗜(みだしなみ)之部が収録されており、挿絵も多く掲載されています。その内容ですが、「色を白くし、肌を細かくし、美人とする方法」や「しわをのばし、光沢(つや)の良い顔にする方法」、「鼻が低いのを高く見せる方法」、「髪を洗う方法」、「眉毛をつくる方法」、「顔だちによる化粧の仕方」など、さまざまな美容・化粧方法が、当時のファッションの中心地であった京都の文化を交えながら紹介されています。また、このような美容・化粧方法のみならず、「目が赤くはれて痛むのを治す薬と方法」、「口の中がただれて痛むのを治す薬と方法」、「歯の痛むのを治す薬と方法」などの治療方法についても記載されており、医学書的な性格も含んでいます。