コレクション

『朝日グラヒック』

収蔵品

1921年(大正10年)制作/サイズ:383×530mm(横×縦)

資料番号:37226

大阪朝日新聞の日曜版の付録として発行された、大正10(1921)年創刊のグラフ誌です。新技術「ロータリーフォトグラビア」を使用した国内初の雑誌です。
ロータリーフォトグラビアとは輪転式のグラビア印刷のことで、1890年にカール・クリッチュによって発明されました。グラビア印刷は写真の再現に優れた印刷技法です。海外では美術印刷を行い成功を収めました。大正5~6年ごろには、この技法を導入しようとする動きが日本でも出てくるようになります。
早速文献を集め研究に取り組んだのは、辻本写真工芸社の辻本秀五郎でした。辻本は苦心の末、印刷機も印刷インキも国内で製作、大正9年の秋に印刷に成功します。実験成功によって大阪朝日新聞で採用が決まった矢先、ライバルの毎日新聞社ではアメリカからグラビア印刷機を輸入するという噂が流れました。そこで新年に間に合わせるため急遽製作した印刷機第一号は、一部が木製であったと言われています。当初は、辻本写真工芸社内で印刷されましたが、東京-大阪間のやりとりのタイムロスが大きく、大阪朝日新聞社に機械が移設されました。移設の間は、市田オフセットが印刷を請け負っており、HB製版によるオフセット印刷でも発行されています。