コレクション

『世界旅行 萬国名所圖繪』

収蔵品

1885年(明治18年)~1886年(明治19年)制作/サイズ:98×150×27mm(横×縦×厚み)

資料番号:37475~37481

本書は、明治18~19(1885~1886)年にかけて大阪の出版社、青木嵩山堂からシリーズで全7巻発行されました。青木嵩山堂は「東の博文館、西の嵩山堂」といわれる明治を代表する出版社で、山田美妙や幸田露伴の作品を出版したことでも知られています。
当館所蔵の第1巻は明治22年に再版されたものですが、次のような再版緒言があります。「(前略)江湖の書君子の 賞讃を得てニ巻より 第七即ち終刊まで 続々出版するを得 其今日まで発兌の数 既に五万部餘(よ)となり 本巻如きは摩滅して堅固の銅版今は早 用を為さずなりたりき(後略)」。この緒言から当時よく売れていたことがわかります。
本書が人気を博したのは、内容もさることながらその美しい印刷が一因であったことに違いありません。本シリーズの表紙は木版多色刷りや、石版印刷によるカラフルなもので、本文ページはほぼ全てに挿絵が入り、挿絵文字共に緻密な銅版で印刷されています。また製本もこの時代独特の方法で、一見洋装本のように見えますが、本文ページは片面印刷したものを針金で袋とじにし、それを表裏二枚のボール紙で挟み、背をクロスで貼り合せたものになっています。