コレクション

小判切手 1銭/2銭

収蔵品

1876年(明治9年)制作/サイズ:21×25mm(横×縦)

資料番号:37607、37608

1876(明治9)年5月17日に、新しい普通切手が発行されました。
楕円形の輪郭は、当時のヨーロッパではラベルやパッケージにも用いられた、流行のデザインでした。流行のデザインを取り入れて発行されたこの切手は、楕円を小判になぞらえて、小判切手と呼ばれます。
それまでの切手も、手で版を彫刻し、印刷されていましたが、小判切手のような大量生産はできませんでした。量産の問題を解決する新技術は紙幣や切手の印刷を指導するために招聘されたキヨッソーネによってもたらされます。
印刷では、複数の版を1枚に集めて配置することを面付と呼び、面付した大量生産のための実用版が使用されます。小さな切手の版は複製して1枚に集めれば、1度に多数の印刷が可能となると同時に、元の原版で直接印刷せずにすみ、摩耗することがなくなります。つまり、原版から版を複製することができれば、版の美しさを保ちながら、また、大量生産も可能となるのです。
キヨッソーネによって伝えられた、版を複製する技術は、紙幣や切手の大量生産を可能にし、明治の通貨制度や郵便制度を支えていくことになりました。