コレクション

『Principia Philosophiae』

収蔵品

1644年制作/サイズ:170×220×30mm(横×縦×厚み)

資料番号:41117

哲学者ルネ・デカルトの『哲学原理』は、1644年にアムステルダムのルドウィック・エルゼヴィルによって出版されました。「我思う、ゆえに我あり」という至言によって、近代哲学の祖としての印象が強いデカルトですが、本書以前にも「宇宙論」を執筆し、出版を試みたことがありました。しかし1633年、コペルニクスの地動説を支持したガリレオが宗教裁判にて異端の審問を受けたことを聞き、出版を取りやめています。
およそ十年後に出版した本書には、彼の考える宇宙を図示しています。デカルトは宇宙空間全域にわたって微細物質が充満しており、これらの作り出す渦が太陽や地球、惑星を動かしているという理論にて説明を行いました。
本書の印刷を行ったエルゼヴィル家は、1580年代から18世紀まで続いた一族経営の印刷工房および出版社でした。創始者のルドウィック・エルゼヴィル(本書印刷者の祖父)は、アントワープのクリストフ・プランタンの元で製本を学んだ後、ライデンに移り印刷・出版業を起こしています。ローマ教皇庁の権威を恐れ、イタリアでは印刷されなかったガリレオの『新科学対話』を出版するなど、自然科学の領域で重要な書物をエルゼヴィル家は印刷しました。