コレクション

ゾンカ『機械論』

収蔵品

1656年制作/サイズ:209×300×16mm(横×縦×厚み)

資料番号:51632

道具や機械のおかげで近代科学は発達したともいえますが、その証拠に、近代化が進む16-17世紀のヨーロッパで、身の回りの道具や機械を詳述する本がたくさん刊行されます。当時、技術者や科学者は自ら考案した技術を書物に著し、また他が生み出した新しい機械の情報を、本書のような技術書を通して得ていました。
土木への風水力利用や、各種建築様式を説明する本書でぜひ注目したいのは、機械が「解剖」されていることでしょう。例えば写真のように一台の木製印刷機が各パーツごとに図示されていますが、記号を追いながらパーツの役割を見ていくと、それぞれが有機的に繋がり、印刷機を構成していることが分かります。レオナルド・ダ・ヴィンチやヴェサリウスのような芸術家や外科医が体を解剖し、図示したのと同じように、著者ヴィットーリオ・ゾンカは機械を解剖し、再現可能なように記号をつけて詳述しています。ダ・ヴィンチ、ヴェサリウス同様、著者ゾンカもイタリア人ですが、イタリアという風土が本書の構成や性格付けに影響を与えているともいえます。