コレクション

『地理学の基礎(視覚障がい者のための地理入門書)』

収蔵品

1819年制作/サイズ:310×442×80mm(横×縦×厚み)

資料番号:41127

目の不自由なこどもが地理の授業でつかう教科書。視覚障がい者むけに刊行された最初期の書籍でもあります。18世紀まで目の不自由な人々への教育はほとんどかえりみられませんでした。1784年、世界初の盲学校がパリに設立されますが、創立者ヴァランタン・アユイみずから本書にある浮き出し文字を考案します。しめらせた紙を版に置き、プレスして凹凸の浮き出し文字はつくられます。けれども目の不自由な人にとって装飾的な筆記体はよみにくいものでした。そこでアユイの教え子で、卒業後に同校の教壇にたつことになるルイ・ブライユが1825年に点字を発明します。夜間に指先で情報を「よむ」ための軍事技術を参考にしたものでした。ヨハネス・グーテンベルクとならぶ功績をあげた人物として、目の不自由だったヘレン・ケラーからたかく評価されるほど、ブライユの点字はその後、世界中で視覚障がい者にかかせないコミュニケーションツールになっていきます。本書は点字発明前夜をしるうえでかかせない貴重な資料です。
フィリピンやインドネシアとともにアジアの島々のひとつとして、日本Japonが上巻98ページ半ばで紹介されています。