コレクション

『北亜墨利加合衆国帝王ヨリ献上貢物品々 蒸気車之図』

展示中

1854年(嘉永7年)制作/サイズ:313×237mm(横×縦)

資料番号:45065

瓦版は、江戸時代の人々に、事件や災害などの情報を伝えましたが、多く取り上げられたのが、仇討、火災、地震、黒船来航でした。中でも黒船来航については、黒船をはじめ、ペリーならびに随員としてのアメリカ人、幕府への贈り物などさまざまでした。
本資料は、幕府への贈り物の一つである蒸気機関車の模型を描いた瓦版です。アメリカから贈られた物は、これまで日本では目にしたことのない先進文明を象徴する物ばかりでしたが、特に目を奪ったものが蒸気機関車の模型でした。アメリカで製作された蒸気機関車を四分の一サイズにしたものでしたが、客車を連結させ、時速三十キロ余りのスピードでの走行が可能でした。
幕府は、横浜に応接所を設けて、日本とアメリカ双方による贈呈式を行いましたが、そこに円形に線路が敷かれて、蒸気機関車の模型を走らせました。その動く姿を見た幕府役人の驚きは相当だったと想像できます。実際、好奇心に駆られた一人が、走行する機関車の屋根の上に乗ったことが、ペリーが著した『日本遠征記』に記されています。蒸気機関車の姿が瓦版に仕立てられたことで、実物を見られなかった人々にも、広く知られることになりました。