コレクション

ブラウ『中国図』

収蔵品

1650年頃制作/サイズ:528×440mm(横×縦)

資料番号:45137

地図製作者として名高いブラウ家(オランダ)が出版した中国と日本を含む近隣図です。手で色づけした銅版印刷による地図は地図帖から抜きとられ、貼り合わされています。こうした地図は実用的に役立つばかりでなく部屋の装飾品としても人気がありました。
初代ウィレム・ヤンスゾーン・ブラウが礎を築いたブラウ家は、17世紀のオランダ繁栄を背景に地図製作者としてヨーロッパ随一の地位を築きあげました。当時のオランダでは大航海時代のおかげで、特にアジア方面の植民地政策がうまくいったことで、日常的に新しい情報を入手することができました。ウィレム、そして息子のヨハンは、アジアから戻ってきた航海士、商人、宣教師たちから直接話を聞き、表紙にある精度の高い地図を作りました。また当時ブラウ家ではエッチングと呼ばれる銅版印刷を用いましたが、17世紀のオランダでは優秀なエッチング職人を雇いやすかった点も、成功した理由に挙げられるでしょう。
先述のウィレムは<印刷機>を製作しているのも面白い点です。「ブラウ・プレス」と呼ばれる彼が開発した印刷機の特徴は、スクリューや圧盤などの主要な個所に鉄や銅を用いていることで、グーテンベルク時代からの木製印刷機に大改良を加えた偉業と言えるでしょう。
当館が復刻したプランタン印刷機は同タイプの印刷機だと考えられています。