コレクション

「天文分野之図」

収蔵品

1677年(延宝5年)制作/サイズ:580×1219mm(横×縦)

資料番号:75457

862(貞観4)年より用いられていた宣明暦をおよそ800年ぶりに改暦したのは、江戸時代の天文暦学者、渋川春海(1639~1715)でした。日本独自の暦法を上奏し、導入された功績によって幕府に新設された天文方に就任することになります。本図は改暦以前となる1677(延宝5)年の刊行です。
本図は、古代中国でつくられた「分野」という天文占いに基づき、天の領域を地上の場所に対応させたものです。流星や彗星などの天体現象が起こった際に、対応する地上において何かが起こる予兆と考えていました。渋川春海は中国の地名が割り当てられていたものを、日本に配当し直しています。
天の北極、天帝付近には山城、大和、近江などの近畿諸国に割り当ててあるため、西(酉)には長門、周防、安芸など、各地の方角は帝が住む京都から見たものになっています。渋川春海は、中国からもたらされた印刷物によって、天文学や暦法を学び、日本の緯度にあった修正を行うことで、改暦を実現するに至りました。