コレクション

『日本王代一覧』

展示中

1802年(享和2年)[初版は1663年(寛文3年)]制作/サイズ:182×262×8mm(横×縦×厚み)

資料番号:75253~75259

漢文で記述された日本の通史です。初代の神武天皇から第106代の正親町天皇(弘治3〔1557〕年~天正14〔1586〕年在位)までが範囲とされ、幕府が編纂していた漢文編年体の日本通史『本朝通鑑』を簡約した内容になっています。江戸幕府の老中・酒井忠勝の求めに応じて、儒者の林鵞峰が編集しました。当初は写本でしたが、誤写があったため、原草稿で版を起こし、寛文3(1663)年に京都の書林村上勘兵衛が刊行しました。
寛政7(1795)年に大坂の版元泉本八兵衛が版権を購入し、その後江戸の須原屋ほか三都の書林から、享和2(1802)年に林述斎の序文を加えて刊行されました。
本書は海外でも翻訳出版されました。長崎出島のオランダ商館長イサーク・ティチングは、オランダ通詞の本木良永らの助力を得て、本書を訳し、本国に持ち帰りました。その後、ドイツの東洋学者ユーリウス・クラプロートが、神話の説明などを加筆し、天保5(1834)年にフランス語に翻訳して刊行しました。
酒井忠勝は、徳川家光、家綱に仕え、幕政を運営しました。また、南光坊天海の一切経開版や隠元隆琦の黄檗山萬福寺の開山を援助し、朝幕関係の円滑化に努めました。