コレクション

三越呉服店〈上代美人〉

収蔵品

1913年(大正2年)制作/サイズ:758×1056mm(横×縦)

資料番号:52021

三越呉服店の第2回広告画図案懸賞募集の1等作品を図案にしたポスターです。同店は1911(明治44)年、売出し用ポスターの図案を初めて懸賞募集。高額賞金と入賞作品の美しさが話題となり、2年後の新陳列会用ポスター図案も一般公募で募集しました。
明治末から大正期には呉服店を前身とする百貨店が次々に誕生し、大都市に建てられた鉄筋コンクリートのビルは、近代化の象徴となりました。百貨店は広告にも力も居れます。ポスターは19世紀末に日本でもつくられるようになりましたが、当初は印刷会社が原画手配から印刷までを主導しました。三越呉服店の懸賞募集は、印刷会社を介さずにポスター用の原画を入手する試みとして注目されました。
ポスターを見ると端に「三越呉服店」と控えめに記されているのみで、広告というより鑑賞用の美しい絵画でした。初期のポスターの絵柄に美人が多いのは、こうした理由からでしょう。当時、大判のカラフルな印刷物は珍しく、ショーウインドウに飾られたポスターは評判となり宣伝にもなりました。いかに美しく原画を複製するかを主眼に制作されたポスターは、20版(色)以上を刷り重ねたものも多く見られます。女性の表情からたおやかな手に至るまで、細やかに表現されています。