コレクション

『シンタキシス』

展示中

1856年(安政3年)制作/サイズ:148×216×46mm(横×縦×厚み)

資料番号:53967

『シンタキシス』は1856年、長崎にて西洋式金属活版印刷で刷られたオランダ語の文法書です。それは、16世紀末に長崎でキリスト教徒がわが国初の金属活字による活版印刷を行ってから、約300年ぶりのことでした。
当時、日本では外国艦船の来航が相次ぎ、対応する必要が出てきました。そのため蘭学を学ぼうとする藩や士族が急増し、オランダ商館に注文が殺到して蘭書が底をついてしまいました。そこで幕府は自前で印刷しようと1855年に活字板刷立所を開設し、取扱掛にオランダ語通詞の本木昌造を任命。昌造はオランダ製の欧文活字とスタンホープ型印刷機を使って『シンタキシス』528部を印刷したのです。おそらく慣れない欧文活字の鋳造や組版は試行錯誤の連続で、印刷は決して美しくはありません。しかし昌造にとって、短期間でこれだけの洋書を印刷できたことが、後の活版印刷の完成につながりました。