コレクション

『日本大家論集 第壹編』

収蔵品

1887年(明治20年)制作/サイズ:153×230×5mm(横×縦×厚み)

資料番号:54021

本誌は、明治20(1887)年6月15日に博文館から発行された雑誌です。博文館はこの『日本大家論集』の発行をもって雑誌出版界に登場しました。この雑誌は、他誌に掲載された著名人の論説を採録したもので、雑誌の表紙に政治、法律、経済、哲学、文学、史学、理学、医学、工学、宗教、教育、衛生、勧業、技芸と記述してあるとおり、幅広い分野の論説を一度に読むことができたために、近代化を迎えた知識欲旺盛な明治の人々に大いに歓迎されました。創刊第一編は最初の三千部をたちまち売り切り、翌年にいたっても重版されるほどの人気でした。当時はまだ著作権の規定がなく、他誌の掲載論説を寄せ集めて発行するという、濡れ手で粟の戦法でしたが、世の中のニーズを的確に把握した創業者、大橋佐平の着眼点が優れていたことを示しました。
同社はこの成功で勢いづき、その年は立て続けに3誌を発行しています。そして創業わずか10年の間に、雑誌30誌以上、書籍1000冊以上も発行する、明治を代表する大出版社に成長しました。さらに、博文館は洋紙を調達する博進社、専属印刷工場として博文館印刷所、出版物を売りさばく取次店として東京堂を関連事業として立ち上げ、経営効率を高め、その地位を確固たるものにしていったのです。