コレクション

『唐土訓蒙図彙』

収蔵品

1719年(享保4)制作/サイズ:160×225×10mm(横×縦×厚み)

資料番号:54085~54094

『唐土訓蒙図彙(もろこしきんもうずい)』は、江戸時代中期に刊行された唐土(中国)に関する知識を多数収録した絵入りの百科事典。江戸時代初期に儒学者・中村惕斎(てきさい)がまとめた『訓蒙図彙』のレイアウトをベースに、主に見開きの片側に4つの事柄をブロックに分け、図版と平易な文章で紹介しています。約1,700の知識を天文や地理・人物などの9つの区分で14巻に分類しており、学問の初心者に向けてわかりやすく図解することを心がけながらまとめられました。儒学者の平住専庵(ひらずみせんあん)が著し、図版を狩野派の絵師である橘守国(たちばなもりくに)が描いています。守国は上方で活躍、『絵本写宝袋』など多くの絵手本を手掛けて後の浮世絵師に大きな影響を与えました。
写真は本書に収録された世界地図です。イエズス会宣教師のマテオ・リッチは世界地図を手掛け、江戸時代の地理学に大きな影響を与えました。その影響を受けている世界地図はマテオ・リッチ系と称されており、この写真のものも同系に分類されます。
本書は秋田屋市兵衛(大坂)、須原屋茂兵衛(江戸)から木版印刷で刊行されました。両者は江戸・大阪それぞれの都市を代表する版元のひとつです。本書は何度も版を重ね、拡大する印刷・出版が当時の人びとの知識欲に応え、知識の大衆化を下支えしていました。