コレクション

『改正増補日本鹿子』

収蔵品

1716年(正徳6年)制作/サイズ:167×111×8mm(横×縦×厚み)

資料番号:76209~76219

『改正増補日本鹿子』は五畿七道各国ごとの所領地の生産性を表した知行(ちぎょう)高、郡名、歴代の城主、神社仏閣、名物、名所旧蹟などをまとめた日本全国の地誌書です。初版は1691(元禄4)年に刊行され、本書は後年の増補版にあたります。制作にあたっては江戸の地誌として著名な『江戸鹿子(えどかのこ)』の便利さにならっており、鹿子とは鹿の斑点のような模様を出した絞り染めの一種、鹿の子絞りのことで、当時江戸で流行していました。著者は元禄期に活躍した浮世草子の作者・磯貝捨若(いそがいすてわか)で、浮世絵師の石川流宣(とものぶ)が挿絵を手掛けています。流宣は菱川師宣(ひしかわもろのぶ)の弟子といわれており、「日本海山潮陸図(にほんかいさんちょうりくず)」など元禄の浮世を表すような絵図を手がけ、流宣の日本図は「流宣(りゅうせん)図」と呼ばれ人気を博しました。
袖珍本サイズの版型にコンパクトに流宣図が収められ、五畿七道の地域図、江戸などの都市図などの絵図の他に、寺社・名所の図を収録しています。図版が入ることにより、読者が旅するかのごとくまだ見ぬ世界へのイメージ理解を助け、興味がかきたてられます。