コレクション

ロベール・ガガン『フランスの起源と歴史に関する小論』ジャン・プティ印行 パリ

収蔵品

1502年制作/サイズ:200×270×35mm(横×縦×厚み)

資料番号:54809

15世紀パリ大学で法学部長を歴任したロベール・ガガンによる代表作。タイトル通り、ローマ古典の知識を活かしフランスの成り立ちを説く本書には7つの翻訳があり、19版を重ねるほど人気を博しました。ガガンは、エラスムスと長年交流したユマニストとしても知られ、自らカエサルやリウィウスなどローマ古典をフランス語に訳し出版するなど、パリの初期ユマニスムの指導的立場にありました。こうした人文主義を広めるなか出会ったのが印刷者ジャン・プティです。プティはフランス・ルネサンスを出版から支え、16世紀初頭のパリで刊行された書物の一割を手がけていたとされます。出版一族としてプティ家はパリやルーアンで17世紀半ばまで出版活動を続けました。他にもエチエンヌ家やプランタン家など、16世紀ヨーロッパは一族経営の印刷業者が多くいた時代でした。
巻末左ページにはタイトルページと同じイメージがあります。フランスの守護聖人聖ドニと聖レミが中央に描かれています。一方、右ページにはイニシャルI.P.のある紋章が木からぶら下がり、大樹を挟みオスとメスのライオンが向かい合うイジャン・プティの商標があります。16世紀になると、ヨーロッパ中の印刷業者が信頼の証として商標を用います。