コレクション

「新聞紙広告用電気銅版見本」

収蔵品

1900年(明治33年)制作/サイズ:709×546mm(横×縦)

資料番号:55962

活版所は、自社製品のカタログとして活字見本帳を発行していました。見本帳には文字だけでなく花型や、こうした図版の見本も掲載されていました。この資料は見本帳の付録で「新聞紙広告用」と記されています。明治30年代は新聞の発行部数が激増した時代で、新聞各紙の広告欄も増えていました。これは、そうした新聞広告用図版の見本であると同時に、よく見ると大人も子供も楽しめる正月遊びの定番である双六仕立てになっています。
東京築地活版製造所は、近代日本の活字製造、販売の先駆となった会社です。本木昌造の弟子、平野富二が明治5年に長崎新塾活版製造所の東京出張所として、神田佐久間町に拠点を置き、翌6年から築地に移転し開業したのがその始まりです。本木昌造の弟子たちは明治初期から長崎、大阪、横浜、築地など各地に活版所を設け、そこで製造された活字は、政府の刊行物や、新聞、雑誌、書籍などの印刷に使用され、日本の近代化の推進に大きな役割を果たしました。
こちらの見本には当時実際に発行されていた新聞紙名が用いられ、本物の広告さながらです。当館で所蔵する、東京築地活版製造所が明治38年に発行した『増訂電気銅版見本』には、ここで用いられているのと同じ図版が掲載されています。