コレクション

『花の栞』(第4回 明治35年)

収蔵品

1902年(明治35年)制作/サイズ:233×309×23mm(横×縦×厚み)

資料番号:56000

この『花の栞』は、明治中頃から発行された印刷物交換見本集です。第一回の交換は、明治26(1893)年、第二回は明治27(1894)年と続き、明治31(1898)年、35(1902)年…と不定期ながら継続して発行されました。全国の印刷業者から集められ、東京築地活版印刷所が製本したものです。
注文の際の参考資料というよりも、各社が技術を誇示することで、印刷業界全体の技術向上を目的としていたようです。印刷が産業としてさらなる発展を遂げるためには、印刷物への美の追求と新技術の導入は不可欠だと考えられ、その発表の場と位置付けられていたのです。社名だけでなく、製版者や印刷者の個人の名前が掲載されています。技術者は誇らしさとともにライバルへの対抗心を燃やし、技術の研鑽にはげんだことでしょう。
活字や罫線を組み合わせてつくる「罫画」のほか、木版、描画石版、彫刻凹版、さらに写真版も所収され、回を重ねる毎に徐々に新しい技術による印刷物が顔を見せていきます。