コレクション
「さくゆり」 『大日本植物志』第一巻第二集第六図版
収蔵品
1902年(明治35年)制作/サイズ:479×365×2mm(横×縦×厚み)
資料番号:78529
小川一眞が撮影し、コロタイプで印刷した「さくゆり」です。本図版の右下には「K. Ogawa, phot. et imp.」とあることから、該当ページの撮影と印刷を小川が手がけたことがわかります。
『大日本植物志』は、植物学者の牧野富太郎の植物図を石版で刷り、解説文を載せ、東京帝国大学理科大学植物学教室が編纂、東京帝国大学が刊行しました。本書には図版が全16点掲載されていますが、その内の1点が本図版です。1900(明治33)年から1911(明治44年)にかけて、第一巻第一集から第四集まで出版されましたが、牧野が描いた「さくゆり」とともに、小川が撮影した「さくゆり」の写真がコロタイプで印刷、掲載されたものは本書だけです。
小川は『大日本植物志』のほかにも、牧野の著作の図版制作に関わっていました。『日本禾本莎草(かぼんさそう)植物図譜』『日本羊歯(しだ)植物図譜』(ともに敬業社、1901~1903年)などは、牧野が作成した植物標本を小川が撮影し、コロタイプで印刷した植物図鑑です。小川は、コロタイプや網目版の印刷で、日本の文化や美術を海外に紹介するとともに、自然科学の分野でも功績を遺しました。