コレクション

「大日本憲法発布式之図」

展示中

1889年(明治22年)制作/サイズ:729×354mm(横×縦)

資料番号:56015

近代化が推し進められた明治時代。変貌を遂げる様相は、視覚情報として多くの人々に伝え、広められました。その役割を担ったものが、錦絵や石版画などの図版印刷でした。
特に錦絵では、首都となった東京の景観や、蒸気機関車など文明開化を象徴するものが好んで描かれました。これらは開化絵と呼ばれましたが、その他にも、憲法発布や議会開設、博覧会など新政府主導による政治的なイベントや催しも恰好の画題となりました。
『大日本憲法発布式之図』もその一つです。明治宮殿の正殿において、内閣総理大臣黒田清隆が、憲法の原本を明治天皇に手渡す発布式の様子が、三枚続きの錦絵に仕立てられています。
明治時代以前には、国家が主導する政治が図版印刷によって、庶民に広められることはなく、また、在位中の天皇の姿が印刷によって複製化されることはありませんでした。その意味からも、この錦絵は、新たな時代の幕開けを人びとに強く印象づけたことでしょう。