コレクション

鉄道列車出発時刻及賃金表

展示中

1872年(明治5年)制作/サイズ:290×423mm(横×縦)

資料番号:56030

明治5(1872)年10月、新橋駅―横浜駅(現桜木町駅)間にレールが敷かれ、日本鉄道史がスタートします。正式開業に先立ち、明治政府は5月8日に品川駅―横浜駅間で仮営業をはじめました。本資料はその際に使われた珍しい時刻表で、黎明期の鉄道事情を知る第一級の資料といえるでしょう。6月に入ると川崎駅、神奈川駅(廃駅)にも停車するため、直通運転は一カ月ほどしかありませんでした。二つの停車駅名しか記されない本資料には、鉄道マニア垂涎の価値があります。
運賃表を賃金表と表したり、「発車十五分前までに切符を買っておくように」「犬を乗せるにはさらに二十五銭必要」など現代とは異なる鉄道事情も目を惹きます。一方で両駅を35分で結ぶ列車のスピードが、現代とそれほど変わらない(25分~30分)点に驚かされます。
江戸期まで使われていた時刻の単位「字」にも注目。現代の「時」に変わったのは12月、グレゴリオ暦(太陽暦)が日本に導入されたときでした。まさにこの資料発行の数ヵ月後です。日本国民の時間概念が大きく変化する時期に刊行されたものであり、当時の国民の時間意識を身近に感じ取れる資料です。