コレクション

滑稽新聞定期増刊『絵葉書世界』

収蔵品

1907年(明治40年)~1909年(明治42年)制作/サイズ:240×320×20mm(横×縦×厚み)

資料番号:56302~56326

『絵葉書世界』は、明治40(1907)年5月1日に滑稽新聞社より雑誌『滑稽新聞』の定期増刊として刊行されました。ちょうどその頃、日露戦争凱旋大観兵式記念絵葉書が発売され、ちまたでは絵葉書ブームがわき起こっていました。本書は石版多色刷りの絵葉書30枚を一堂に収め、それぞれ切り離して実際に使えるというユニークなもので、時には本家である『滑稽新聞』以上の売れ行きとなりました。
『滑稽新聞』は、明治から昭和にかけて活躍したジャーナリスト宮武外骨が、明治34(1901)年に発行した雑誌で、世の中の不正や悪事を独特のユーモアを織り交ぜながら諷刺、告発するものでした。最盛期の明治40年頃には、8万部を発行するほどの人気でした。
紹介する『絵葉書世界』はその絶頂期に、絵葉書ブームに乗じて刊行されました。体裁は一風変わっており、一枚の紙に30枚分の絵葉書を配置し、それを折りたたんだものです。絵柄は風流なものから、諷刺の効いたものなどさまざまで、大変面白いものです。『滑稽新聞第137号』には、この定期増刊について「其着想の奇抜と意匠の斬新は云うまでも無く、前代未聞の廉価販売であるから、雑誌界と絵葉書界に大恐慌を起さしめるであらうと信ずる」と少々大げさに紹介しています。
『絵葉書世界』の価格は一部14銭で、『滑稽新聞』曰く「普通絵葉書店の売価なれば一枚2銭以上5銭位」であり、「仮に平均一枚3銭と見積もるも90銭の価値あり」としています。明治42年まで26集が発行されました。