コレクション

『大正大震災大火災』

収蔵品

1923年(大正12年)制作/サイズ:150×220×15mm(横×縦×厚み)

資料番号:56389

大正12(1923)年9月1日、マグニチュード7.9の大地震が関東南部を襲いました。東京では、多くの出版社、印刷会社、取次が点在する日本橋区、神田区、京橋区などは火災でその大部分を焼失し、9月8日の大阪朝日新聞には「雑誌が全滅した 印刷文化の大打撃」「10月から殆ど出まい」と書かれるほどでした。
この本は、震災直後の10月1日に、大日本雄弁会・講談社より発行されました。テレビもラジオも無く、ニュースといえば新聞のみという時代、震災の詳細な記録として全国的に受け入れられ、40万部を売ったといわれています。
当時よく売れている書籍でも2千~3千部の時代に、40万もの部数に達したのは、人々が情報を求めていたことはもちろんですが、もう一つ訳がありました。それまで書籍と雑誌の流通ルートは異なり、書店でも扱う専門が「雑誌」「書籍」「雑誌と書籍」と3つに分かれていました。しかし震災後の混乱の最中に発行されたこともあり、昔の慣例を破って雑誌販売店にもこの本を配本したのです。そのため、全国津々浦々に書籍がいき渡り、大ベスセラーとなったのです。この成功は東京の出版界を活気づけ、復興への道標となりました。