コレクション

『キング』第1巻・第1号(創刊号)・1月号

展示中

1925年(大正14年)制作/サイズ:150×220×17mm(横×縦×厚み)

資料番号:60042

大衆娯楽雑誌『キング』は、戦前の日本の雑誌界において、初めてミリオンセラーを達成した雑誌です。「面白くて、為になる」をキャッチコピーに、大人から子どもまで幅広い人たちに受ける内容を目指し、創刊には5年の歳月がかけられました。当時売れていた雑誌がせいぜい25~26万部の時代に、創刊号50万部を発行し、たちまち売り切れ、増刷分と合わせて62万部を売り切ったといわれています。
そもそも、大日本雄弁会講談社社長の野間清治は、創刊号を80~100万部発行することも考えていましたが、取次店との交渉で50万部に落ち着きました。それにしても、創刊号50万部という部数は、当時としては破格の部数でした。この桁はずれの大部数を売るために、野間社長が考えたのは大規模な広告・宣伝作戦でした。
書店には大正13(1924)年9月1日付で『キング』の創刊を発表、協力をお願いする書状を発送し、ポスターの他に、ビラ、パンフレット、のぼりなどの広告をたくさん送りました。また、新聞広告も派手にうち、キング創刊には38万円の宣伝費を費やしたといわれています。
空前の部数を売るために、功を奏した広告・宣伝による販促活動は、その後の出版界を出版広告時代へと導きました。また、雑誌の大量生産は製紙業界、印刷業界にも影響を及ぼし、流通制度をも変革しました。『キング』が100万部を達成したのは昭和2年の新年号で、創刊からわずか2年というスピードでした。