コレクション

ウィース『スイスのロビンソン』

収蔵品

1893年制作/サイズ:145×210×12mm(横×縦×厚み)

資料番号:58218

ディズニー映画「スイスのロビンソン家族」、ハリウッド映画「ロスト・イン・スペース」他、数多くの映画、テレビ番組、小説の元ネタとして有名です。
オーストラリアを目指し、長い航海に出た夫婦と4人の息子たちが、遭難してしまいます。ライオン、大蛇、サイなどが生息する危険な島に家族は流れ着きますが、科学的知見を生かし、サバイバル生活を送ります。冒険譚としても十分面白いのですが、父親が学校を開き、子供らを立派な大人に育て上げる面も見逃せません。逆境のなか、人間らしく生きるために教育は不可欠と作者は考えました。道徳的権威を身にまとい、家族を導く父親の姿に、聖書、なかでも福音書を重んじた当時の福音主義の影響をみて取ることもできるでしょう。
デフォー『ロビンソン・クルーソー』に着想を得ますが、漂流者の孤独な冒険物語という性格は弱まり、父親を中心に家族で協力し困難を乗り越えるところが評価されました。
作者ヨハン・ダヴィド・ウィースはベルン(スイス)にあるプロテスタント教会の牧師であり軍人でした。4人の息子に語った物語を本にまとめた本書の挿絵を、三男のヨハン・エマヌエル・ウィースが描いています。