コレクション

『Penrose's Annual Vol.37』

収蔵品

1935年制作/サイズ:180×245×45mm(横×縦×厚み)

資料番号:71742

ロンドンで創刊された印刷年鑑で、1895年に創刊され1982年まで、ほぼ毎年刊行されました。創刊当時のタイトルはProcess Work Year Bookで後にPenrose’s Annualと改題されました。Process Workとは日本語に訳すと「写真製版」のことです。1890年前後頃から写真の技術(感光材に像を写し取る技術)を製版に応用する写真製版技術が世界中で発明されており、新しい技術や印刷表現について最新のレポートがまとめられています。
写真製版は、初めは凸版でのみ実用化されましたが、その後、凹版や平版でも実用化が進みました。本書の口絵である写楽の版画は、日本の凸版印刷株式会社で印刷されたもので、木版ではなくHBプロセス製版(多色写真平版)によるオフセット印刷物です。同社はアメリカで発明されたこの技術にいち早く目を付け、1920(大正9)年にこの製版法の日本導入に尽力しました。日本の印刷会社の印刷物がイギリスの印刷年鑑の巻頭口絵に掲載されたことについて、1939(昭和14)年に刊行された『日本版畫変遷史』では「世界各国より集まれる版画の中、東京の凸版印刷株式会社の印刷せる写楽の複製版画を巻頭第一に推しているは嬉しく、同社がこれを出陳して、日本印刷界のため万丈の気を吐きたるは感謝に値する」と評しています。