コレクション

『雪華図説』

展示中

1832年(天保3年)制作/サイズ:120×175mm(横×縦)

資料番号:75371

『雪華図説』は、下総国古河藩第4代藩主・土井利位が雪の結晶を観察し、その模様をまとめた図鑑です。天保3(1832)年に私家版として刊行され、公家や武家に向けての贈呈品として用いられることが多かったようです。土井利位は顕微鏡を用いて雪を約20年観察・研究し続け、本書にまとめました。日本で初めての科学的視点から記された雪についての自然科学書で、高い評価を得ています。
『雪華図説』には八十六種類の雪の結晶が掲載されています。土井利位は雪の結晶を「雪華」と名付けました。この雪の結晶を観察する方法や注意点として、雪が降りそうな日に黒色の八糸緞(織物)をさらして冷却させ、降ってきた雪を受けると肉眼でも見えるが、顕微鏡を用いると更にはっきりと見えること、息がかかることを避け、手のぬくもりを防ぎ、繊鑷(ピンセット)を用いることなどが自序の中で述べられています。
『雪華図説』に描かれた「雪華図」は、鈴木牧之が著した『北越雪譜』に引用されました。この本がベストセラーとなると、江戸で「雪華」模様が流行し、浮世絵や刀の鍔、かんざしなどの小物、さらには着物のテキスタイルと様々な物に用いられました。この雪華模様は土井利位の官職名から「大炊模様」の別名があります。
土井利位は大坂城代に就任した際、大塩平八郎の乱が起こり、これを鎮圧した功績から京都所司代へ、後に老中へと昇進していきます。天保の改革では水野忠邦に協力し、忠邦辞任後は老中首座となり幕府財政の立て直しに手腕を発揮しました。藩政においても、ブレーンとして鷹見泉石を登用して藩政改革を行いました。「雪の殿様」の愛称で知られています。