コレクション
『童子問』
収蔵品
1707(宝永4)年制作/サイズ:182×273×80mm(横×縦×厚み)
資料番号:75896~75898
伊藤仁斎(じんさい)の主著の一つで、儒学の原点について解説したものです。中国宋の『易童子問』や『詩童子問』にならって、童子(こども)との問答形式をとっており、漢文体で著されています。童子が発した53の問いに対して、説き聞かせるものとなっています。
本書を著すにあたり仁斎は、1691(元禄4)年頃より稿を起こし、2年後に序を記しました。その後も亡くなるまで加筆・訂正を加えましたが、彼の死後に、息子の東涯(とうがい)らによって加筆・校訂が行われ、1707(宝永4)年に全3巻が刊行されました。
仁斎は、江戸時代前期に活躍した儒学者・思想家です。幕府の正学である朱子学を否定し、儒学思想の本来の姿を取り戻すべきであると、古義学を唱えました。その古義学の名にちなんで、1662(寛文2)年に、京都堀川の生家に私塾となる古義堂を開き、儒学を教えました。
彼の門弟は3千人以上いたと言われています。古義堂は明治時代に至るまで、子孫によって受け継がれましたが、『童子問』は教科書として使用されました。仁斎による朱子学の否定は、その後、儒学を否定する国学の成立と発展へと結びつくことになりました。